ジュニアユース合宿 〜 2泊4日の旅
台湾HUFCのみんなと。
スポーツは国境を軽く越える。再見〜
(MJスポーツパーク)
期間中、松永コーチがUpしてくれたアルバムはこちら
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今回の合宿のアテンドをお願いした亀田さんは、富士宮市をホームにクラブチームを運営し、トップチームからジュニア、女子カテゴリーまで展開している。
クラブを一般社団法人化した時も、その方法や手続き等の指南をしてくれて大変お世話になりました。このクラブの恩人のお一人。
そんな亀田さんに3日間のマッチメイクも全てお願いし、有り難いことに様々なタイプのチームとたっぷり試合をすることができました。おかげで3日間大充実。
うちの選手達にとって、貴重すぎる機会となったのです。
3日間、ゲームの中で「広く思いながら狭さをつくり、相手の裏を突いて崩していく」
というゲームモデルを追求し、合間のトレーニングも挟みながら、大切なものを積み重ねることができた。
しかしサッカーは、思い通りにならないことも多い。自分達の思うようにいかない時、疲れて体が動かない時、頭が回らない時、諦めそうになった時。そんな苦しい時に「もう無理でーす」と自ら白旗を上げて楽に走るアリバイプレーヤーになるのか、それとも「ここからが勝負」と、もうひと頑張り、もうひと踏ん張りができるか。
その違いが、3日間で如実に表れてきたのも現実。そこの差は、これからの日々のトレーニングとゲームのサイクルの中で、少しずつ埋めていかなければいけない。
おそらく選手たち自身が、そこは一番感じてくれているとは思うのだけれど。
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さらにこの合宿では、コーチから選手達への上意下達・トップダウンではなく、一緒に考え、共有し、相談しながら一緒に物事を進めていく「フラットなボトムアップ」を掲げ、全員リーダー制も決め、ミーティングも彼らが中心に話しながらそこに大人の意見も多少加え、またそれを彼らが吟味し取捨選択していくことへの取り組みを始めました。
フラットなボトムアップ。
協同探求しながらフットボールを楽しみ、自らをデザインしていく。
クラブの新たなアイデンティティーを、生み出そうと。
サッカーだけでなく、初日の夜には英語でのワークを行い他者から見た自分、矢印の向け方を考え、2日目の夜には「社会、世界、歴史とフットボールは密接につながっている」ことをテーマに、日本とアジアを取り巻く近代の歴史と、今、リアルタイムで起きている問題についての勉強会も。
フットボーラーは、社会のヒーローであってほしい。そんな願いも込めて。
みんな眠たい目をこすりながら、それこそ「一緒に考えて」くれました。
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3日間、様々なタイプのチームと対戦したことで、見えてきたのが「魅力とは」ということ。
勝敗、強い弱い、上手い下手…そういう表面的な評価基準と、
「このチームとこのままもっと試合していたい」「このチームともう一度試合したい」
と思えるのは、全く別のこと。
例えば3日間全て対戦してもらった台湾のクラブチーム「HUFC」さんは、ゲームが始まればバッチバチ、多少のコンタクトも厭わず、一昔前の体育会系を思い出すようなノリでガンガンとこちらに牙を剥いてきた。ピッチ内は「日本対台湾」の国際試合となり、ヒリヒリした雰囲気の噛みつき合い。
でもいざゲームが終われば、謝謝、ありがとう、Thank you!と、お互い思い思いの言葉を使ってコミュニケーション、そしてそれぞれ笑顔で握手やハイタッチ。
そんな感じで3日間ずっと、彼ら台湾とのゲームはとっても心地よい時間だった。
しかも、初日よりも2日目、2日目よりも3日目…と、彼らどんどんゲームのクオリティーが上がってきてたし。
慣れない日本の地で様々なストレスや疲れがある中で、あれだけパフォーマンスを上げてくる。アグレッシブだしひたむきだし、とても魅力のある選手達ばかり。
つい忘れがち、疎かにしがちなものを思い出させてくれるような彼らのサッカーに対する姿勢や意識は、間近で接していて、とても感銘を受けるものでした。
一方、初日に対戦した静岡の某クラブチームの「3年生たち」は、ゲーム中でもふざけ、奇声をあげながらプレーをし、年下相手にイキり、ファールを繰り返し、こちら怪我人続出。
それに対して指導者は笑いながら見ていて、何も言わない。
こちらの選手がひじ打ちを喰らい鼻血を出して3人もピッチ際で治療しているのが見えているのに、ゲームが終わっても、指導者は何も言ってこない。
あぁ、そういう人で、そういう人が指導している選手たちなのだなと、諦めの境地に自分を抑え込み、なんとか怒りをぶつけずにその時間を終わらすことができたけれど。
そして2日目に対戦してくれた亀田さんのチーム「岳南Fモスペリオ」の選手達。
人数が少なく台湾のチームから助っ人を借りてうちと対戦してくれたのだけれど、試合前に彼らが楽しそうに遊んでる様子を見ていたら、これはあの静岡のふざけたチームと同じ感じか…と一瞬不安もよぎったのだけれど、いざ試合が始まってみたら、試合前のやんちゃな姿は一変、1プレー1プレーを必死にひたむきに、全力でプレーをしてくれる。
人数が少ないというのは結構モチベーションに響くものなはずなのに、それでもゲームを楽しみ、相手と全力でぶつかり、そして試合後はやっぱり笑顔で握手。
さすが亀田さんの指導しているチーム。
「指導者の人柄が、チームの色になる」という言葉を思い出したのでした。
最終日に対戦した、某J3クラブ・U-13の選手たち。
最初のゲームでは、うちが数点とって無失点で完勝。それを受けての2本目、コーチからの叱咤もあり、彼らは1本目とは比べ物にならないほどに強く熱く、そして最後まで緩めずに、立ち向かってきたのでした。
J3とはいえ、俺たちはJのアカデミー。負けたまま帰るわけにはいかないとばかりのプライドが彼らから垣間見え、それに対しうちの選手たちの方が圧倒されるシーンもしばしば。
結局シーソーゲームの末、1点差でJの彼らがうちを上回ってゲーム終了。
終了の笛が吹かれた瞬間、勝った彼らはピッチにへたり込み、倒れ込んでる選手が複数。
勝ったチームの、全力を振り絞った姿。ここまでやり切って、初めて「楽しかった!」「悔しい」と言える。
一つ年下の彼らにも、とても大切なものを教わった気がしました。
このように、人を動かす魅力って決して強さや上手さだけでは測れないもの。
それを、台湾のチームや亀田さんのチーム、そしてあのJクラブの選手たちからは良い意味で学ぶことができたし、あの静岡の某クラブチームからは、反面教師として学ぶことができた。
うちの選手達にも、実際にそう話しました。
2泊3日と短い期間だったけれど、有り余るほどの機会と刺激のシャワーであふれた3日間。
従来、2泊3日だと初日の午後から3日目の午前まで、という感じだけど、今回は初日の午前から3日目の夕方までみっちりたっぷりと時間を使ったので、実質【 2泊4日 】みたいなもの。
その中で、海外のチームとの交流もでき、良いことも嫌なこともたくさん味わいながら、それぞれが少しずつ自らをデザインし始めた3日間。本当に、スーパーで濃密な合宿になりました。
この成果は、秋以降にたっぷりと選手たちに表現してもらいましょう。
アテンドして下さった亀田さん、お世話になった皆さん、対戦して下さった皆さん、ありがとうございました。謝謝、再見!