良いプレー、見つけられますか?
「もっとこっち!」
「寄せ甘い!」
「キック弱い!」
白熱した日々の中、熱心にやってるサッカーですから、そういった厳しい声が飛び交うこともあります。
それ自体は良くあることというか、サッカーの中では当たり前に起きることなので、そんなに気にはなりません。全く問題なし。
気になるのは指摘をする声が飛び交う割に、良いところに目が向かず、仲間を褒めたり、プレーを評価してあげる声が聞こえてこないこと。
冷静に考えると、ミスや、選択できなかったことと同じぐらい、出来たこと、成功したこと、チャレンジしたことも存在してると思うのですが、なぜか聞こえてくる言葉は9:1ぐらいの割合でネガティブ。(下手したら10:0)
さて、ロボスというチームは、人のダメなところばかりをチクチク言い続ける、性格の悪い選手ばかりが集まったチームなのでしょうか?
味方を貶すこと、蔑むことに楽しさを感じる、性悪なプレイヤーばかりなのでしょうか?
もちろん答えはNOです。
サッカーが好き、仲間が好き、なんらかのポジティブな気持ちで集まってきている選手たちばかりで、自信を持ってイイヤツらだと胸を張ることができます。
ですが、ではなぜ、そんなイイヤツらが集まってるのに、試合中はネガティブな声が飛び交うのでしょう?
良いプレーを見つけることは、実は結構難しい。
サッカーのミスは、ひと目にわかりやすいです。
シュートを外す。
パスが繋がらない。
ドリブルを失敗する。
それらは誰が見ても明らかで、サッカーに詳しくない人でもミスだと認識できます。
また、ミスがわかりやすいという話にかなりニアリーですが、結果もわかりやすいです。
1対1で相手を抜いた。
相手に抜かれた。
上げたクロスボールが味方に合った。
ヘディングで競り勝った。
ロングパスが通った。
クサビが通らなかった。
試合に出た。
ゲームに勝った。
優勝した。
これらはわかりやすく結果として現れます。
サッカーのことを詳しくない人も、プレーを始めたばかりの人も、違うスポーツをやっている人も、、、
どんな人が見ても、サッカーというスポーツはそれなりにわかりやすく、小さな勝負や小さな結果がたくさん出ることもあり、それが世界中の人に楽しまれてる理由のひとつだと思います。
ただ、そのサッカーのわかりやすさ、普遍さと相反するように、実はサッカーの良いプレーとはなかなかわかりにくいものとなっています。
こちらは本日の低学年クラスの練習試合の様子ですが、
さて、皆さんはこの動画の中で、良いプレーを何個見つけられましたか?
20秒あまりの動画ですが、最後に、僕が見つけた良いプレーの数と比較するので、良ければ一回数えてみてください。
結果が出にくいからこそ、結果ではないところにフォーカスする。
バスケや野球と違って、サッカーはなかなか点が入らないスポーツです。
なにせ殆どのプレーがミスで終わります。
そのため、良かったプレーも、最後はミスで終わることがほとんどなので、良かったのかどうか、大変わかりにくくなっています。
良いところはわかりにくくなっているのに、ミスや出来ていないことなど、最終的な結果はあからさまに現れるので、そこにフォーカスしていると、冒頭のような
「もっとこっち!」
「寄せ甘い!」
「キック弱い!」
と言った声が増えます。これらは事実であり、嘘を言っているということはないのですが、あまりにもそういう声が多いと、
「あー、君たちは良いプレーとは何か?それが、わかってるようで、わかっていないんだね」という気持ちになります。
やってる選手の性格は悪くないのですから、となると、
やってる選手の中に良いプレーの基準がないから → 良いプレーを認識できない → 結果的にそういった声が少ない
のだろうと思います。
話は少し変わりますが、これはロボスの話だけでなく、日本サッカー全体も同じ問題を抱えていると考えています。
サッカー協会やメディア・マスコミ、選手やスタッフと話していても
「森保ジャパンはダメだ」
「戦術がない」
「シュートが全く入らない」
「やる気が感じられない」
「あの選手をなんで起用しないんだ」
「バックパスのミスをした柴崎は戦犯」
「一度ワールドカップを逃して考え直したほうが良い」
などの言葉が並びます。
仕事柄、日々の生活でも業界の人からそういった声を聞くことが多いですが、それを聞かされるコチラの考えは大体ひとつ。
「あー、この人サッカーわかってないんだな」
たとえそれが大手メディアでも、元選手でも同じです。
メディアなら、自分より影響力のある人だし、元選手であれば自分より結果を残したり能力があった人であることがほとんどですが、「サッカーをわかってるか」の観点で言えば、自分が劣っていると感じることは殆どありません。
反対に、この人はサッカーをとてもわかってるな、凄いな、と感じさせられる人に出会えることも時たまあります。そういった出会いはとても幸せです。
一体「サッカーわかってる人」と「わかってない人」には何の差があるのでしょうか?
サッカーをわかってる人は、良いところを伝えられる人
ほぼ結論となりますが、サッカーをわかっている人とは、良いプレーを人に伝えられる人です。
そして、サッカーをわかってる人と一緒にプレーをすると、たとえその人が歳をとって動けなくなり、フィジカル的に衰えていたとしても、「うまい!」と感じるプレーを披露してくれます。
これは、いわゆる世の中で言う「サッカー上手い人」とは若干異なります。
サッカーをわかっているなと感じなくても、めちゃくちゃ上手い人も世の中にはたくさんいて、これは自分とは完全に異質です。
センスや感覚でプレーしてきたのでしょうが、この辺もサッカーの面白いところのひとつです。これはこれで本当に素晴らしくリスペクトすべきことです。
※逆に、感覚派なので人に伝えることはそんなにうまくありません。また、こういった選手は、だいたい何かずば抜けて得意なプレーがあり、それを多用することも多いです。そのへんはまた今度。
サッカーをわかってる人。。。。彼らはサッカーをわかっているので、サッカーにおいて、どういうプレーが良いプレーなのか?という基準をたくさん持っています。
なので、そのたくさんある引き出しから、様々な良いプレーを繰り出していくイメージです。
反面、他人のちょっとしたプレーもよく褒めてくれます。
「今のキック、通らなかったけど良く見えてたね」
「ひっかかっちゃったけど、今はチャレンジしても良かったから全然OK」
「良い走りしてるけど、あんまり今日球出てこないな」
「今ボール奪えなかったけど、寄せてくれたおかげで次の選手が奪えたよ、サンキュー」
「今本当は右狙ってたんでしょ?そっちに通ったら面白かったな」
決めた、通った、奪った、などのわかりやすい結果は出てないプレーでも、それが良いプレーだと認識できているので、こういった声を様々な選手にかけています。
それをシェアしてね
さて、これは大人のサッカーの話。
ロボスの選手たちにはまず、「これは良いプレーだ」という認識をたくさん作って欲しいと思っています。
まだサッカーを始めて数年。なんとなく始めたけど、ゴールを決めたり、相手を抜いたり、試合に勝ったり、仲間とワイワイしたり、それが楽しいなと感じていることでしょう。
もっともっとサッカーを楽しむために、どんどん上手くなってほしいですが、まずは自分と味方の良いプレーをどんどんみつけてください。
加えて、何が上手いということか?をみんなでシェアしてほしいです。
10人中1人が気づいた「あの良いプレー」を、周りにシェアして、
「あー、あれって良いプレーなんだな」
というのをみんながわかるようになれば、「10人中1人が気づいたあの良いプレー」は、
少しずつ「ロボスの選手みんなが持ってる長所」に変わっていきます。
シュートが入った、相手を抜いた、というのもモチロンです。良い結果が出たときにはみんなで声を掛け合って盛り上げてほしいので、どんどん声を掛け合ってほしい。
ただ、ここで言う「良いプレー」は、結果が出たプレーだけではないです。
ミスに終わったけど良いチャレンジ、練習を続けていたことが試合で出来そうになった瞬間、苦手だったものをやってみたコト、周りにはわからないけど、事前にピンチを防いたポジショニング。。。
サッカーには、外から見るだけではわかりにくい良いプレーがたくさん潜んでいます。
親やコーチにもわからない、チームメイトだからこそ気付けるものもきっとたくさんあります。
それらは、見つけようとしないと見つからないものだったりするし、ある日突然見つかるものだったりもします。
その良いプレーをどんどんシェアして、みんなでうまくなっていければ最高ではないでしょうか。
何よりポジティブな声が飛び交いながらするサッカーは、少なくとも厳しい声しか飛んでこないサッカーよりは楽しいことでしょう。※突き詰めていくと厳しい声が飛ぶことも必要になってきますがそれは一旦おいておきましょう。
長くなりましたが今日はこの辺りで。
ちなみに、You Tubeにアップした動画の中で、私丸山は14個の良いプレーを見つけました。
皆様は何個気付いてあげられたでしょうか?